目次 | 内容 |
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保育園の開園時間について | ・認可保育園の開園時間は朝7時〜夜18時頃が一般的 ・市区町村や園により異なるが、おおよそ計11時間の開園 ・延長保育を含めると、合計開園時間は12〜13時間程度 ・保護者の就労時間に応じ、預かり時間が決定 |
保育士の勤務時間について | ・労働時間は原則1日8時間、週40時間が上限 ・上限を超える場合は、残業代支払いか代休が必要な場合 ・労働時間6時間超で45分、8時間超で1時間以上の休憩義務 ・休憩は業務から完全に離れた状態が原則、多くの保育園で9時間拘束 |
保育士の変則的な勤務体系について | ・時短勤務は子育てや介護で勤務時間を短縮する働き方 ・週休3日制は正職員で週3日休みを実現する形態 ・フレックスタイム制は勤務時刻を自由に決める制度 ・変形労働時間制は一定期間で平均労働時間を調整 ・みなし労働時間制は、あらかじめ固定残業代を給料に含む |
雇用形態(正職員・パート・派遣)で労働時間に違いはある? | ・勤務時間や残業の扱いは、雇用形態に左右されない ・正職員、パート、派遣、全てに同じ労働基準が適用される ・労働基準法は雇用形態に関わらず平等に保護 |
保育士の勤務時間に問題がある場合は転職も検討を | ・残業代の未払いや無給の休日出勤は違法行為 ・不適切な休憩時間や持ち帰り仕事の強要も問題 ・これらは労働基準法違反の「ブラック保育園」に該当する可能性 ・改善されない場合は、転職を真剣に検討すべき |
【まとめ】保育園の開園・延長時間と保育士の勤務時間を解説。拘束・労働・残業時間は何時間が適切なのか? | ・保育園は延長保育含め12〜13時間程度開園が一般的 ・長時間開園のため、保育士はシフト制勤務 ・保育士の勤務時間は原則1日8時間、週40時間が上限 ・8時間労働+1時間休憩の計9時間拘束が一般的 ・不適切な労働環境の場合は、転職を検討する選択肢 |
よくある質問(FAQ) | ・保育園は長時間開園、保育士はシフト制勤務で原則1日8時間上限 ・休憩は労働時間に応じ45分または1時間、業務から離れた状態が必須 ・サービス残業や持ち帰り仕事は明確な違法行為、割増賃金の支払い義務 ・労働環境改善に向け、人員配置基準改善やICT化、業務見直しが進行中 ・勤務時間、残業代、休憩、持ち帰り仕事などから労働環境をチェックし、不適切な場合は転職を検討 |
- 保育園の開園・延長時間は通常どれくらい?
- 保育士の勤務時間は通常どれくらい?
- 勤務している保育園の拘束・労働・残業時間は適切?
保育士さんの「働き方」に関する疑問は非常に重要です。
特に、労働時間については知っておくべきことがあります。
この記事では、保育園の開園時間と保育士の勤務時間の関係性、サービス残業の具体的な内容、そして適切な「拘束時間」「労働時間」「残業時間」を見極めるポイントを詳しく解説しています。

私の労働時間って、本当に適切なのでしょうか?

適切な労働時間について学び、あなたの働き方を見直してみましょう。
その経験が参考になればと思います
保育園の開園時間について
多くの認可保育園では朝7時〜夜18時くらいまでの時間を開園時間としていることが多いです。ただし、保育園の開園時間は、市区町村や園によって異なります。
- 7時から18時
- 7時15分から18時15分
- 7時30分から18時30分
などと同じ市内の保育園でも開園時間にばらつきがあることも多いです。ですが基本的に、認可保育園であれば、共通しておおよそ合計11時間は開園していることが多いです。これは、保護者が子どもを預けられる時間が最大11時間のためです。
主に保護者がフルタイムで就労している場合は、保育標準時間として認定され11時間まで子どもを預けることができます。保護者がパートタイムで働いているなどの場合は保育短時間として認定され、最長8時間まで子どもを預けることができます。
延長保育について
前項でおおよそ11時間は開園していると説明しましたが、多くの保育園では延長保育という、時間外の保育を行っています。多くの保育園では1時間から2時間程度の延長保育を実施しています。
延長保育は、保護者の就労を理由として通常の保育時間を超えて保育が必要な場合を対象としています。保護者が延長保育を利用する場合は別途、延長保育料というのがかかってきます。
延長保育を行っている保育園の開園時間は合計すると12〜13時間程度になります。当然ですが、保育士もそのすべての時間に勤務している必要があるので、子どもの人数に応じて、幅広いシフトでの勤務になります。
保育士の勤務時間について
保育士に限った話ではないですが、会社などに雇用される労働者の勤務時間は 基本的に1日8時間、週40時間が上限 とされています。
なので、ほとんどの認可保育園では1日8時間、週40時間を勤務時間としていると思います。あくまで上限なので、標準の労働時間がこれより短い保育園もあります。
- 1日8時間 週5日勤務
- 1日6時間 週6日勤務
これらは一日8時間、週40時間を超えていないので、違法ではありません。
- 1日10時間 週5日勤務
- 1日8時間 週6日勤務
これらは一日8時間、週40時間を超えているので、違法となります。ただし、後述しますが、36協定を締結し、残業代を支払えば、労働基準法で定められた限度時間の範囲内で上記の勤務時間も可能になります。
保育園で働く保育士の場合は、土曜日も開園しているので週6日勤務になることもあると思います。それが可能なのは、 平日に代休を取得している、もしくは、残業代として休日手当を支払っている 場合です。
保育園で働く保育士の方で1日8時間、週40時間を超えて勤務しているのに残業代を貰っていないという場合は、違法なブラック保育園である可能性があります。
先ほど説明したように、保育園の開園時間は延長保育を合わせると12〜13時間程度である場合が多いです。なので、保育士は適切な人数が常に配置されるようにシフト制での勤務になります。
休憩時間について
休憩に関しては、 労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩を付与される 必要があります。
8時間を超える場合なので、労働時間が8時間ちょうどであれば45分の休憩を与えればよいですが、1分でも過ぎる(残業する)場合は1時間の休憩が必要になります。そのため、ほとんどの認可保育園では1日8時間の労働時間と1時間の休憩時間があり、合計の拘束時間は9時間になっていると思います。
また、休憩時間は、本来は完全に業務から離れている必要があり、例えば、書類仕事をしている・子どもと給食を食べている(介抱もしている状態)・午睡を見守っているなどの時間は本来は休憩時間とは認められないです。
保育園で働く保育士の場合は、なかなか難しいですが、休憩時間は別室の休憩室などで完全に業務から離れていることが理想的になります。
残業時間(時間外労働時間)について
1日8時間、週40時間を超える部分に関しては、残業という扱いになります。残業の時間に関しては、保育園は保育士に対して割増の賃金を支払う必要があります。
割増賃金は通常の賃金の1.25倍の賃金の支払いになります。つまり時給1000円の保育士が一時間残業を行うと、1250円の支払いが必要になります。ちなみに、深夜や休日の場合にはさらに割増賃金を支払う必要があります。
- 1日10時間 週5日勤務
このケースで言うと、合計10時間分が残業時間になります。
- 1日8時間 週6日勤務
このケースでは、合計8時間分が残業時間になります。
正職員で働いている保育士の方だと自分の時給がわからないという人もいると思いますが、
- 時間単価=毎月支払われる賃金÷月平均所定労働時間
として計算することができます。
毎月支払われる賃金というのは、月給から通勤手当や住宅手当などの賃金を除いた金額です。月平均所定労働時間は毎月働く必要のある平均時間になります。就業規則(給与規程)でも確認できると思います。
自分の残業代金の支払い金額が適正なものか、一度計算してみることをおすすめします。
サービス残業(持ち帰りの仕事を含む)は違法
1日8時間、週40時間を超えて保育園で仕事をしているのにも関わらず、残業代が支払われていない、というケースは保育園で働く保育士の方にも多いと思います。
当然、持ち帰りで書類仕事などに関しても、その時間が仕事であるので残業(時間外労働)という扱いになります。昨今ではリモートワーク(在宅)で仕事がほとんど完結できるようになってきている会社も少なくないですよね。その在宅での仕事時間も当然給料は支払われています。
保育士が、持ち帰りの仕事を無給ですることがなぜか当たり前になっているという場合もあると思いますが、働いた分の給料はしっかり貰うべきです。
保育士のサービス残業、持ち帰りの仕事に関しては以下の記事でも解説しています。
保育士の変則的な勤務体系について
保育士の勤務体系には、前述した1日8時間、週40時間以外の勤務体系も存在します。このような保育士の変則的な勤務体系について紹介します。
時短勤務(短時間勤務)
時短勤務(短時間勤務)は一日の勤務時間を通常より短縮して働く働き方です。子育てや介護などでフルタイムでの勤務が難しい方をサポートするための制度になります。
基本的には、事業主に義務付けられている制度になるので、条件を満たしている場合は、希望をすれば利用できる制度になります。
保育士の時短勤務(短時間勤務)については以下の記事で詳細を解説しています。
週休3日制
正職員では、週休二日が基本だと思いますが、週休3日でも正職員として雇用してくれる保育園もあります。
基本の労働時間を少なく設定し、その分支払う賃金も少なくしている場合や、後述する変形労働時間制を利用し、出勤日あたりの労働時間を長くすることで、週休3日を実現している場合もあります。
保育士の週休3日の正社員については以下の記事で詳細を解説しています。
フレックスタイム制
フレックスタイム制は、勤務時刻と終了時刻を労働者が自身で自主的に決定することができる制度になります。
フレックスタイム制は、就業規則等により制度を導入することを定めた上で、労使協定により、一定期間(1ヶ月以内)を平均し1週間当たりの労働時間が法定の労働時間を超えない範囲内において、その期間における総労働時間を定めた場合に、その範囲内で始業・終業時刻・労働者がそれぞれ自主的に決定することができる制度です。
※ 厚生労働省「労働時間・休日」よりhttps://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/roudouzikan/index.html
つまり、今日は10時から18時まで働こう、明日は、9時から17時まで働こうと労働者が就業時間をある程度自由に決めることができる制度です。
保育園で働く保育士に関して言うと、フレックスタイム制を導入している求人は見たことが無いです。保育園では、時間帯によって子どもの人数が違い・必要な保育士の人数も異なるので、好きな時間に来て仕事をするというわけにはいかないためです。
なので、保育士が保育園でフレックスタイム制で働くというのはおそらく難しいと思います。
変形労働時間制
変形労働時間制は、1ヶ月単位、1年単位などで1週間当たりの労働時間が一定期間を平均し、が法定の労働時間を超えない範囲で、法定労働時間を超えて労働させることが可能な制度になります。
保育士の変形労働時間制に関しての詳細は以下の記事でも解説しています。
みなし労働時間制(固定残業代制度)
みなし労働時間制(固定残業代制度)は、一定時間分の残業代があらからじめ給料に組み込まれた賃金体系のことを言います。
保育士のみなし労働時間制(固定残業代制度)に関しての詳細は以下の記事でも解説しています。
雇用形態(正職員・パート・派遣)で労働時間に違いはある?
前述した、保育士の勤務時間、労働時間、残業の扱いなどは、雇用形態に限らずに適用されるものになります。
派遣保育士だから・パート保育士だから、1日8時間、週40時間を超えて働いてよい、残業時間を払わなくて良いということはありません。
保育士の勤務時間に問題がある場合は転職も検討を
- 残業があるのに残業代が支払われていない
1日8時間、週40時間を超えて働いた時間は時間外手当が支給されるはずです。
- 休日出勤しているのに残業代が支払われていない・代休がない
同じように1日8時間、週40時間超えて働いている休日出勤は時間外手当が支給されるはずです。
- 適切な休憩時間が取られていない
休憩時間は6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上が付与され、その間は書類仕事などをせず、完全に業務から離れているべきです。
- 持ち帰りの仕事を強要されている
持ち帰りの仕事は、労働時間に含まれるべきです。
これらのことが起きている保育園は、労働関係の法律を守らない、所謂、ブラック保育園になります。このような場合は、保育園として問題があるので、転職を検討すべきです。
【まとめ】保育園の開園・延長時間と保育士の勤務時間を解説。拘束・労働・残業時間は何時間が適切なのか?
この記事では、保育園の開園・延長時間と保育士の勤務時間の関係性について、その実態と適切な労働条件を解説しました。
特に、サービス残業や持ち帰り仕事は違法であり、働いた分の賃金が支払われるべき労働時間であることを強調します。
保育園の開園・延長時間と保育士の勤務時間についてをまとめると以下のようになります。
- 保育園の開園時間は延長保育までを合計すると12〜13時間程度が一般的
- 開園時間は 7時〜20時 、 7時30分〜19時30分 等 市区町村や園によって異なる
- 長時間の開園時間のため、保育士はシフト制での勤務
- 保育士の勤務時間は通常、1日8時間、週40時間が限度
- 例外を除いて 1日8時間、週40時間 を超える時間は残業時間という扱いになる
- 休憩は、労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上
- つまり、保育士は 8時間労働 + 1時間休憩 の9時間拘束が一般的
- 変形労働時間制や固定残業代制度などの変則的な勤務体系もある
働いている保育園の労働時間、残業時間、休憩時間などの扱いは適切でしょうか。保育士は働いた分の給料はしっかり貰うべきです。適切でない場合は、保育園として問題があるので、転職を検討すべきかもしれません。
もし現在の保育園の労働環境に疑問や不満がある場合は、この記事で得た知識を参考に、今後の働き方を見直すきっかけにしてください。
ご自身の労働時間や休憩、残業の状況は適切でしょうか。必要であれば、より良い環境への転職も前向きに検討しましょう。
よくある質問(FAQ)
- Q保育園の開園時間が長いと聞きますが、保育士の勤務時間はどのようになっているのでしょうか?
- A
多くの保育園では、保護者の方の多様な働き方に対応するため、早朝から夜間までの長時間開園が一般的です。
延長保育を含めると、合計で12〜13時間程度開園している場合が多く見受けられます。
しかし、保育士の方の勤務時間は、労働基準法で定められている通り、原則として1日8時間、週40時間が上限です。
そのため、保育園では長時間開園に対応できるよう、保育士の人数に応じて「シフト制勤務」を取り入れています。
これにより、開園時間の全てに一人の保育士が勤務するのではなく、必要な時間帯に必要な人数の保育士を配置しているのです。
- Q休憩時間が十分に取れません。保育中の休憩時間は、労働基準法に照らして適切ではないのでしょうか?
- A
労働基準法では、労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩を労働者に付与することが義務付けられています。
この休憩時間は、本来は業務から完全に離れることができる時間である必要があります。
例えば、お子さんの午睡を見守ったり、食事の介助をしながらご自身も食事をしたりする時間は、業務の一部と見なされるため、適切な休憩時間とは言えません。
保育士の「拘束時間」が長くなりがちな実態がある中で、法律で定められた休憩時間を適切に取ることができず、心身ともに疲労が蓄積している方もいらっしゃるかもしれません。
休憩時間について園の実態と法律を照らし合わせることは重要です。
- Qサービス残業や持ち帰り仕事が常態化しています。これはやはり「違法」だと考えて良いですか?
- A
はい、サービス残業や持ち帰り仕事は明確に違法であると認識してください。
1日8時間、週40時間を超えて業務を行った場合、それは時間外労働、つまり残業として扱われ、保育園は保育士の方に対して割増賃金を支払う義務があります。
連絡帳の記入、指導案の作成、行事の準備など、勤務時間内に終わらない業務を自宅に持ち帰って無償で行うことは、「保育士の労働時間」として計上されず、正規の賃金が支払われない不適切な状況です。
働いた分の給料をしっかり受け取る権利はみなさんにありますので、このような状況は決して当たり前ではありません。
- Q保育士の「労働環境」を適切にするために、どのような取り組みが進められていますか?
- A
保育士のみなさんの「労働環境改善」に向けて、さまざまな取り組みが進められています。
例えば、国レベルでは2024年度から幼児クラスの「人員配置基準」が改善されることになりました。
これは、保育士一人あたりの担当園児数を減らし、業務負担の軽減を目指すものです。
また、「保育士 処遇改善 加算」の継続的な見直しや、「ICT化」による連絡帳や出欠管理などの事務作業の効率化も図られています。
園によっては、行事の簡素化や「複数担任制」の導入、業務内容の見直しなど、「働き方改革」を進める動きもあります。
これらは、保育士の方の「負担軽減 対策」に繋がるものです。
- Q今の労働環境が「適切でない」と感じる場合、具体的にどのような点をチェックすれば良いのでしょうか?
- A
ご自身の労働環境が「適切」かどうかを見極めるためには、いくつかのポイントがあります。
まず、「保育士 勤務時間」が1日8時間、週40時間を超えていないか、もし超えている場合は「残業代」が適切に支払われているかを確認してください。
次に、「保育士 休憩時間」が法律通り取れているか、そしてその間は本当に業務から離れられているかを確認しましょう。
さらに、「保育士 持ち帰り仕事」が常態化していて、それが無給ではないか、または「保育士 サービス残業」をしていないかなども重要なチェックポイントです。
これら全てにおいて、ご自身の感覚だけでなく、記事で解説した労働基準法や一般的な保育園の基準と比較してみてください。
- Q働き方を見直したいのですが、労働環境が適切でなかった場合、転職を視野に入れるべきでしょうか?
- A
もし現在の保育園で、みなさんの労働時間、残業、休憩時間などの扱いが「適切でない」と感じる場合は、真剣に転職を検討することをおすすめします。
本来、保育士は専門性が高く、子どもたちの成長に寄り添う大変やりがいのある仕事です。
しかし、サービス残業が当たり前だったり、十分な休憩が取れなかったりする「保育士 労働環境」では、心身ともに疲弊してしまいます。
働いた分の給料をしっかり貰い、心身の健康を保ちながら長く働き続けることは、みなさんの大切な権利です。
より良い環境で、みなさんのスキルと経験を活かせる保育園はきっと見つかります。