保育士の方やこれから保育士として働こうとしている方。保育士の雇用形態について知っていますか。保育士の雇用形態は、正職員、パート/アルバイト、派遣社員、契約、非常勤などと様々あります。
正職員保育士、パート/アルバイト保育士、派遣保育士のそれぞれの働く上での具体的な違いについて解説します。また、契約社員、非常勤保育士についても説明します。
正規、非正規でそれぞれ勤務した経験があります
その経験が参考になればと思います
保育士雇用形態の一覧と違いを解説!正職員、パート、派遣社員、契約、非常勤!
まずは、おおまかに正職員、パート/アルバイト、派遣社員の違いをまとめると以下のようになります。
給与制度 | 勤務時間 | 目安給与 | 社保加入 | |
---|---|---|---|---|
正職員保育士 | 月給制 | フルタイム | 月給19〜25万円 | あり |
パート保育士 | 時給制 | 短時間〜フルタイム | 時給1000〜1800円 | 条件によってあり |
派遣保育士 | 時給制 | 短時間〜フルタイム | 時給1000〜1800円 | 条件によってあり |
これについて詳細を解説します。
正職員保育士
正職員の保育士は、正社員の保育士のことで、保育園の場合は会”社”ではないので、正職員(正規職員)という言い方をすることが多いですが、正社員と同じ意味です。
正職員保育士は、基本的には期間が定められていない雇用になるので、自分から退職を申し出ない限りは、定年まで働くことが可能です。
正職員保育士の給与の目安
- 目安月給19〜25万円
これは求人情報でよくある新卒保育士や未経験の保育士の方向けの下限の金額を参考にしています。地域や保育園によっても差がある部分になります。下限なので、経験に有無によってこれにプラスされていきます。
- 目安賞与年2〜4ヶ月分
賞与についても各保育園ごとに異なりますが、正職員保育士は概ね年2〜4ヶ月分の場合が多いです。
これらをふまえると正職員保育士の 年収は250〜400万円程度 になります。
保育士の平均年収等は以下の記事でも解説しているので参考にしてみてください。
正職員保育士の勤務時間
続いては正職員の保育士の勤務時間についてです。
- 週5日40時間勤務
正職員保育士の勤務時間は週5日40時間勤務が基本です。1日8時間勤務に休憩1時間という勤務体系になります。
保育園で働く保育士の場合は、土曜日に勤務があることも少なくないので、平日5日間の固定勤務というわけではなく、シフト制での勤務になることが多いです。
保育士のシフト制勤務については以下の記事でも紹介しているので参考にしてみてください。
正職員保育士の休暇
続いては、正職員保育士の休暇についてです。
有給休暇10日間〜20日間
フルタイムで勤務する正職員の保育士は有給休暇が最低でも年10日間支給されます。基本的には入社後半年後に支給されます。うち、5日間は必ず毎年消化させる義務が保育園にあります。
有給の最低の付与日数は、勤続年数によって増加していき最大20日間/年が付与されます。未消化の有給休暇は有給休暇は最大40日間分までが翌年度に繰り越されます。
これは、法律で決まっている最低の基準なので、保育園が独自に初年度から20日間の有給休暇をする場合などもあります。
夏季・年末年始休暇
夏季・年末年始休暇について、正職員保育士という枠組みで決まった水準はありません。正職員保育士に休暇を付与するかどうかは保育園次第になります。
目安として平均的に以下の日数の休暇がある保育園が多いです。
- 夏季:3〜5日間
- 年末年始休暇:12/28〜1/3
休日保育、年末年始保育を実施している保育園では、年末年始に勤務する可能性もあります。
正職員保育士の各種制度・福利厚生
続いては、正職員保育士の各種制度・福利厚生についてです。
- 産前産後休業、育児休業:あり
産休育休については、法律で基準が定められているので、フルタイムの正職員であればどの保育園で勤務したとしても基準を満たせば、利用することが可能です。
- 社会保険:加入
社会保険(健康保険、厚生年金)については、フルタイムで働く正職員の保育士は基本的に加入となります。
- 保育士等宿舎借り上げ制度:条件によって加入可能
国と自治体が行っている宿舎借り上げ制度についても、保育園で利用が可能であれば、正職員保育士が利用することができます。※条件は市区町村や保育園によって異なります。
正職員保育士の備考
最後に正職員の保育士の備考についてです。
- 週休3日正職員
- 時短勤務正職員
正職員=フルタイムというイメージがあると思いますが、昨今では、多様な働き方を推進するために週休3日正職員という制度を導入している保育園もあります。
また、時短勤務と言って、一日あたりの勤務時間が短い正職員の勤務制度も条件によって利用することができます。
パート/アルバイト保育士
パートは、「パートタイム労働法」で「1週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者の1週間の所定労働時間に比べて短い労働者」と定められています。
つまり、パート保育士は正職員保育士と比較して、一週間の勤務時間が短い保育士ということになります。契約は期間が定められているものもあれば、そうでない場合もあります。働く前にしっかりと諸条件を確認しましよう。
パート保育士の給与の目安
- 時給:1000円〜1800円
パート保育士の場合は、基本的に勤務時間単位での給与になります。最低時給の金額などが異なるので、地域によっても保育園によっても差があります。
高時給なパート保育士の求人は朝、あるいは、夕方限定のモーニング・トワイライトパートに多いです。
パート保育士の勤務時間
パート保育士の場合は、保育園との契約によって比較的自由な勤務時間を設定することが可能です。場合によっては週1からフルタイムまでの勤務が可能です。ある程度勤務時間の融通が効くのがパート保育士の魅力になります。
パート保育士の休暇
パート保育士は、シフトによる勤務時間以外の日が休暇ということになります。
- 有給休暇:基準により付与
有給休暇もパート保育士だと付与されてないということではなく、法律によって定められているため、勤務時間などに応じて有給休暇が付与されます。
年末年始、夏季休暇などについても、保育園が休日であるか、勤務対象の日でなければ、休みということになります。
パート保育士の各種制度・福利厚生
- 産前産後休業、育児休業:条件によってあり
産前産後休業、育児休業については、パート保育士であっても、勤務時間などの条件によっては取得が可能です。
- 社会保険:条件によって加入
社会保険についても、パート保育士でも勤務条件によって加入義務が発生します。扶養を外れたくないという場合は調整が必要になります。
- 保育士等宿舎借り上げ制度:条件によって加入可能
意外かもしれませんが、パート保育士でも条件によっては保育士等宿舎借り上げ制度を利用することが可能です。市区町村などが定める条件を満たした上で、保育園が許可してくれれば利用が可能です。※条件は市区町村や保育園によって異なります。
派遣保育士
派遣保育士とは、派遣社員の保育士になります。派遣会社から各保育園に派遣されて保育士として働く雇用形態になります。
正職員保育士との違いは、雇用されている会社になります。正職員保育士は勤務をしている保育園の法人に雇用されますが、派遣保育士は派遣元の会社に雇用されて、勤務先の保育園に派遣されるという形になります。
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派遣保育士の目安給与
- 時給1000円〜1800円
時給自体はパート保育士で直接保育園に雇用される場合とそこまで大差はありません。派遣元との契約によっては月給での契約になる場合もあります。
派遣保育士の勤務時間
勤務時間についても契約次第で、週1からフルタイムまでの勤務が可能です。場合によっては「1日限定」という単発の派遣保育士の仕事もあります。「急遽保育士が不足してしまった」」「一日だけ保育士が足りない」という保育園に派遣されて期間限定で仕事をする形です。
派遣保育士の休暇
フルタイムで勤務する派遣保育士であれば、有給休暇10日間〜20日間が正職員と同様に付与されます。フルタイムでない場合は勤務時間に応じて付与日数が異なります。
年末年始、夏季休暇などについては、派遣先の保育園に準じるので、派遣先が休みであれば、同様に休暇になります。それ以外は派遣元の会社に従うという形になります。
派遣保育士の各種制度・福利厚生
- 産前産後休業、育児休業:条件によってあり
産前産後休業、育児休業については、派遣保育士であっても、勤務時間などの条件によってはもちろん取得が可能です。
- 社会保険:加入
社会保険(健康保険、厚生年金)については、フルタイムで働く派遣保育士は基本的に加入となります。フルタイムでない場合は条件によって加入有無が決まります。
- 保育士等宿舎借り上げ制度:条件によって加入可能
市区町村などが定める条件によっては派遣保育士でも、保育士等宿舎借り上げ制度の利用が可能ですが、雇用元が派遣元の会社になるので、利用のハードルは高くなります。※条件は市区町村や保育園によって異なります。
契約社員保育士について
保育園によっては「契約社員」という雇用形態をする場合があります。「契約社員」という定義は実は曖昧で、法律などで決まっているわけではありません。
基本的には、期間(1年など)を限定した雇用形態を指すことが多いです。その場合は、期間が定められていること以外は正職員と違いはないということになります。
ですが、実際の雇用の内容は各保育園によって異なるので、求人情報で「契約社員」という記載があった場合は、詳細をしっかり確認しましょう。
「契約社員」という雇用形態は一般的には、期間が決められた雇用形態のことを指します。一般的にはと言っているのは「契約社員」というのは法律などで定義されているものでは無いためです。
契約内容、実態の運用については保育園が決めているものになります。つまり「契約社員」という雇用形態であれば、すべての保育園でこのような雇用システムになっている!と共通して言えることはありません。
保育業界では、例えば1年間というような雇用期間を定められていて雇用される保育士が契約社員になります。契約期間である一年間が経過した際に、契約が更新するかどうかは、保育園、及び、雇用されている本人の意思によって決定されます。
つまり、契約社員の契約期間が終了した場合には、契約を継続する場合も、継続終了する場合もあるということになります。
契約社員保育士の正職員との違い
前項でも書きましたが、契約社員であるか正職員であるかという雇用形態の違いは期間が定められた雇用(有期雇用)なのか、期間が定められていない雇用かという点の差が基本です。
それ以外の仕事内容、給与待遇面、シフトや労働時間などの条件は、保育園によって異なるというのが実情です。一概にすべての保育園でこのような雇用システムになっていると共通して言えることはありません。
なので、ここで紹介するのはあくまでも、一般的に保育園で多い契約社員保育士の正職員との違いの特徴について解説しています。
給与面での違い
契約社員の保育士の給与で正社員との違いで多いのが、
- 賞与が支給されない
ということです。保育園の契約社員では、賞与が支給されないことが多いです。
社会保険については、勤務時間にもよりますが正社員と同等で、基本的には加入になります。
シフトや出勤日の違い
シフトや出勤日に関して、契約社員保育士は正職員との違いが多いのが、
- フルタイムの勤務ではない場合がある
- 出勤の時間や曜日に融通効く場合がある
これも保育園次第ですが、正職員と比べて、シフトの融通が効くというのが契約社員で働くメリットになります。
休暇面の違い
休暇は、フルタイムの勤務であれば、正職員との違いはほとんどありません。有給休暇についても、正社員と同等の条件で付与されることになります。
仕事内容の違い
契約社員と正職員の保育士の仕事内容の違いについて一番顕著なのは、
- 担任を任されにくい
- 行事の主担当を任されにくい
担任を任されないことが多いです。やはり担任を任されるのは、正職員が優先になります。どうしても人員が不足している場合には担任を任されることもあるでしょう。
それに伴って保育士としての業務負担が少なくなることがあります。特に書類仕事などは、担任ではないことで減る可能性がある部分です。
行事についても同様で、主担当についてはやはり正職員の保育士が任される場合が多いと思います。
また、研修制度や地域の保育士会の参加などの、保育士のスキルアップに関わる事項については、正職員が優先されるので、参加できないことが多いです。
心理的な負担の違い
保育園の雰囲気によっては、心理的な負担にも違いが出てきます。例えば、
- 私は契約社員だから〜
- 来年でいなくなるから〜
人によっては無責任だと思うかもしれない言動ではありますが、保育園の内情によっては、これが通る場合もあるのが実情です。
こんなことを口に出さないとしても、内心でそう思うことで軽減されるストレスというのもなくはないかもしれません。
契約社員保育士のパート保育士との違い
パートタイムは、「パートタイム労働法」で「1週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者の1週間の所定労働時間に比べて短い労働者」と定められています。
前述したように、契約社員については、明確に法律で定義されているものではなく、雇用する会社が独自で決めている雇用形態になります。
パートタイムは時給で給与が換算されることや、労働時間によっては、社会保険にも加入しない場合もあります。
その他の違いについては、やはり、正職員との違いと同様に保育園によって異なるものになります。事実上パートと変わらないけど、保育園が契約社員と呼んでいるというだけの場合もあるようです。
保育士が保育園で働く際には契約社員と正社員どちらが良い?
再三になりますが、契約社員であるか正職員であるかという雇用形態の違いは期間が定められた雇用(有期雇用)なのか、期間が定められていない雇用かという点の差であることが一般的です。
もし、それ以外の条件がまったく同じものであるなら、正社員として働いたほうが絶対に良いです。
正社員は簡単には「クビ」にはできませんが、契約社員は契約期間が終われば、本人が続けたいと思っても一方的に契約を終了できる可能性があるためです。
ちなみに、正社員だと「退職しづらい」という保育園で働く保育士特有のデメリットがありますが、これは心理的な問題だけであって法律的には、正社員でも2週間前に退職の意思を伝えればいつでも退職することが可能です。
逆に言うと、保育士が保育園で働く際には契約社員と正社員どちらが良いのかという意味では、 雇用期間以外のその他の条件がどのようになっているのかという点が重要 です。
それに加えて、自身の働き方やライフスタイルを踏まえて、契約社員と正社員どちらが良いのかということを判断すべき です。
例えば「家庭の都合で○曜日は早番で出勤できない」という事情があるとします。保育園が正社員での雇用の場合にこの条件をのんでくれないのであれば、契約社員として働くという選択肢になります。
つまり、裏を返すと、保育園がこの条件をのんでくれさえすれば、正職員として働いたほうが良いです。昨今は週休3日正社員の制度がある保育園などもあります。
保育士不足で、保育園も多様な働き方を推奨して保育士を確保しようとしているので、保育園側との交渉の価値は十分にあります。
もし、正職員保育士として働くことができれば、賞与が貰えるという点でもメリットが大きいです。
「契約社員だから正社員の保育士より楽」とは限らない
よくある契約社員保育士の仕事の勘違いが、「契約社員だから正社員の保育士より楽」というものです。
これに関しても、契約社員保育士であれば、正社員より仕事が楽とは限らないです。保育園によっては契約社員でも正職員の保育士と全く同等の仕事量・仕事内容を要求されることもあります。
もし楽をしたい(例えば担任になりたくない等)から契約社員で働きたいというのであれば、事前に保育園側と責任や仕事内容の範囲をしっかりと確認すべきです。
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保育園対個人のやり取りをするよりも、保育園対転職サイト会社という形で交渉をしたほうが、正確で確実であるためです。交渉についても転職サイトの担当者が行ってくれます。
交渉に慣れていない保育士が交渉してしまうと、後から話が違う、聞いてないということが生まれやすくなってしまいます。
そうならないてために、しっかりとした転職サイトの担当者をつけて、転職活動に望むのが良いです。保育園の内情などにも詳しいのでそのような点でもおすすめです。
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非常勤保育士について
「非常勤保育士」という言い方は厳密には雇用形態ではありません。ただ、保育園によっては「非常勤保育士」という言い方をする場合もあります。この場合は、常勤でない、つまり、常時出勤しているわけではない保育士のことを指しています。
つまり、正職員以外の雇用形態を指すことが多いです。パート保育士や派遣保育士などです。
まとめ:保育士の雇用形態の一覧と解説
給与制度 | 勤務時間 | 目安給与 | 社保加入 | |
---|---|---|---|---|
正職員保育士 | 月給制 | フルタイム | 月給19〜25万円 | あり |
パート保育士 | 時給制 | 短時間〜フルタイム | 時給1000〜1800円 | 条件によってあり |
派遣保育士 | 時給制 | 短時間〜フルタイム | 時給1000〜1800円 | 条件によってあり |
パート保育士や派遣保育士でも、有給休暇の利用や社会保険の加入、産前産後休業、育児休業などの取得が条件によっては可能です。
しっかりと条件などを理解して、自分の希望をより満たすことができる雇用形態で保育士として働くことができたら良いですね。