保育園で働く保育士の皆様。
本気でこのように思っている保育士の方も少なくないと思います。実際に日本には保育士を辞めた潜在保育士の方が数多くます。その原因は保育士の待遇や労働環境の悪さなどでしょう。保育士として働くより、他の職種で働いたほうが良いと思った人が多いからこそ、保育士を辞めた潜在保育士が多いわけです。
人によって辞めることが正解となる人もいらっしゃいますし、辞めないで続けたほうが良いという方もいらっしゃると思います。今回は、今現在、保育士辞めたい!と思っている人向けに、辞めないための対処方法と辞める方法を解説します。
複数回の転職経験があります
その経験が参考になればと思います
保育士を辞めたくなる理由
ひとつのことが原因で保育士を辞めたいと思うというよりは、様々な不満点が積み重なって保育士を辞めるということが多いです。
まずは、よくある保育士を辞めたくなる理由を紹介します。
給料が安い
保育士が保育士の仕事をやめたくなる理由で一番多いのが、給料が安いということです。保育士の給料は、国としても改善中で、最近は少しずつ良くなってきている傾向はあります。国の目標としては、全産業の女性の平均給与を目指しているようです。
このあとに挙げるそれぞれの保育士を辞めたくなる理由に関しても「給料が低い割に」という前提が含まれています。
多少の不満なら給料がそれなりにあれば我慢できるかもしれませんが、他の職業と比較しても給料が高いわけではないので、我慢できる水準も低くなってしまいがちです。
個人的には給料が安いというのが、保育士を辞めたくなる根本的で一番の原因になっていると思います。
サービス残業・持ち帰りの仕事がある
保育士の仕事はサービス残業や持ち帰りの仕事が多いというのも特徴で、それが保育士を辞めたくなる理由のひとつにもなっています。サービス残業・持ち帰りの仕事は給料アップに繋がらないので、納得感もありません。
サービス残業・持ち帰りの仕事があることは、体力的にも心理的にも保育士を苦しめています。
職員同士の人間関係が難しい
保育園で働く保育士に限ったことではないかもしれませんが、職員同士の人間関係が難しいというのも保育士の仕事をやめたくなる理由に挙げられます。
何度か転職してもなかなか保育園の人間関係に馴染めず、そのことがさらに保育士としての自信をなくしてしまうきっかけになってしまうこともあります。
保育園はブラックの割合も少なくないと思うので、未経験の保育士を育成するという考えが少なかったり、無い場合もあります。辞めたら雇い直せばよいという考えです。
そういうところを転々と転職しても、保育士としてなかなか成長ができず、経験年数だけが積み上げってしまうということもあります。そうなると、次に転職したとしても「経験の割に頼りない」と思われてしまうことも。
人間関係においてもこのような負のスパイラルに陥ってしまって保育士を辞めるという決断をする人も少なくないです。
保護者との人間関係が難しい
保育士は子ども保護者との関係構築も難しいです。いわゆるモンスターペアレントといわれる人たちへの対応です。保護者との関係は教育機関等に勤める人にとっては切っても切り離すことができない問題です。
保育園の責任者である園長は事を荒立てたくない、保育園を認可している市区町村も事を荒立てたくない、そんな状況下で板挟みにあってしまうのが現場の保育士です。
ブラックな保育園ほど、対応は現場の保育士に丸投げするということもあります。もちろん、全部が保護者が悪いわけでもなく、保育園や保育士が悪いという場合もあるでしょう。結局、心理的な負担の割に、給料も高くないというところに行き着きます。
パワハラ・いじめがある
保育園の経営は社会福祉法人が多く、小さい組織で運営されていることが多いです。また、親族・家族経営で運営されていることも少なくないです。そして、小さい組織や家族経営の組織だとパワハラやいじめの問題も深刻化します。
家族経営は自浄作用が効きにくく、パワハラなども保育士が次々に退職しても改善されないことが多いです。家族経営だと園のトップである園長がパワハラを行っていた場合、外部の機関に相談する以外は対抗できる手段がないです。ただ、外部の機関もなかなか介入しづらい現状になっています。
過去にもパワハラなどが問題で保育士が一斉に保育園を退職するというニュースが何度も報道されています。
責任が重い
保育士の仕事の責任が重すぎるというのも離職につながっている原因のひとつです。保育士の仕事は子どもの命を預かる仕事です。もちろん責任はあってしかるべきです。「給料が安い」という項目でも書きましたが、それで給料がある程度高ければ納得はできますがそうでは無いです。
過去には保育園児の散歩中に歩道で子どもが車に轢かれてしまうといういたたまれないニュースもありました。その際には世間からは保育士への批判も相次ぎました。子どもの命を守っている職業なのに給料が安く、さらに、給料が安いことで人手不足になり子どもの安全を確保できないという負のスパイラルに状況になってしまっていることも。
まともな休憩・休みが取れない
保育園で働く保育士には実質的にまともな休憩が無いということや、休暇も非常に取りにくいということが多いです。
完全に仕事から離れているという時間を取るのが難しく、書類作業や行事の準備など、休憩中でもやらなくてはいけないことを作業します。休憩が取れないということはサービス残業をしているということと同様で、精神的に肉体的にも負荷が増えます。
休暇に関しても、保育士の人数が足りていない場合は、気軽に希望の日付に取ることが難しいです。休暇を取ると、その日に勤務する保育士が足りなくなってしまいます。特に担任などは取得が難しい傾向があります。結果的に周囲のことを気にして休暇を取得しない保育士も多いです。
付与された有給休暇が使えないというのは、金銭的な価値に換算しても相当額を損しているということになります。
体力的に大変
保育士の仕事は精神面も大変ですが、肉体面でも大変な部分が多いです。日々の保育士としての仕事の体力的な大変さに加えて、
- サービス残業
- 持ち帰りの残業
- 休憩が無い
- 休暇が取りにくい
という前項までに紹介した要素が組み合わされることによって、さらに体力的に保育士を追い込みます。仕事中に足腰を使う動作も多く、怪我や不調などが原因で保育士を辞めざるを得ないという状態になってしまう保育士さんも多いです。
保育の仕事があわない/向いていない
最後に保育士を辞めたいと考える原因で多いのが、自分は保育の仕事があわないと感じる時です。こう思う原因は人によって様々だと思います。子どもがあまり好きではなかったり、好きだったけど仕事をしているうちに、あまり好きではなくなってしまったということもあります。
保育園での仕事は向いてないと思うけど、幼稚園での仕事のほうが楽しかったと思う人もいます。こう思ってしまうこと自体も、実は、前項に挙げた様々な保育士の仕事の不満が積み重なってできてしまうものかもしれません。
保育士を辞めないための対処法
保育士を辞めたいと思っても、本心としては、できれば辞めたくないという方もいらっしゃると思います。ここではそのような方向けに対処法などを紹介します。
働く保育園を変えれば変わる部分もあるということを知る
前項で紹介した保育士を辞めたくなる理由の中には働く保育園を変えれば変わる部分も実は多くあります。
- 給料が安い
- サービス残業・持ち帰りの仕事がある
- 職員同士の人間関係が難しい
- 保護者との人間関係が難しい
- パワハラ・いじめがある
- 責任が重い
- まともな休憩・休みが取れない
- 体力的に大変
- 保育の仕事があわない
既に何園か保育園を転職していて、保育園のブラックな面ばかりを経験していると、世の中の保育園はすべて同じでブラックだと思ってしまっていると思います。
全ての不満がなくなることはないかもしれませんが、少しづつよりよい環境の保育園に転職することはできます。
私自身もそうだったように、しっかりと転職をする際に保育園を見極めることが大切です。
「保育の仕事があわない」というのは保育園を変えても変わらないのではないかと思うかもしれませんが、実は保育の仕事があわないというのは、職場の人間関係や仕事の進め方などが影響しているということもあります。
うまくできたら褒められる、よくないところは叱られる、良い仕事をしたらきちんと昇給するという環境であれば、保育の仕事が楽しいと思えるかもしれません。
まずは、自分が今の保育園での仕事のどの部分が改善されれば保育士を続けてもよいと思えるかを考えることからはじめることが大切です。
働く保育園を変えよう<転職する>
先程も書いたように、世の中の保育園はすべて同じでブラックというわけではありません。必ず、より良いホワイトな保育園は存在しますし、そのような保育園に転職するということは不可能ではないです。
このサイトでは保育士の転職マニュアルを公開しています。妥協せずに、自分が保育士を続けてもよいと思える環境の保育園を探しましよう。
それでも保育士を辞めたい。保育士を辞める方法
それでもやっぱり保育士を辞めたい!でも辞め方がわからないという方もいらっしゃると思います。ここではそのような方向けに保育士を辞めるための方法を紹介します。
まずは、保育士を辞めた後に必要になるお金を知る
まずは、保育園を退職し保育士を辞めた後に必要になるお金の内容と金額について把握しておく必要があります。仕事をやめた後は収入がなくなるだけだと思うかもしれませんが、引き続きかかってくる費用はたくさんあります。それらを把握することで、現実的に、いくらお金があれば良いのかを理解することができます。
- 国民健康保険
- 国民年金
- 住民税
これらの税金は退職後にも負担が必要になります。
国民健康保険料の計算方法は複雑ですが、目安として、現在、毎月給料から引かれている金額くらいの金額がかかると思っていれば良いでしょう。国民年金に関しては、令和四年度時点では毎月16,590円となっています。また、住民税に関しては、昨年分を翌年に払う後払いのような形になっているので、少なくとも、本年度分は引き続き現在支払っている金額と、同じ金額を支払う必要があります。次年度以降は、本年度の収入次第で住民税の金額が改めて決定します。
当然ですが、これ以外にも、日々の生活でかかっている家賃や光熱費、その他の生活費等も引き続き支払う必要があります。自分が生活費に毎月いくらくらいがかかっているのかということは事前に把握しておきましょう。
保育士を辞めたいけどお金がない時の対処法
ここからは本題である、保育士を辞めたいけどお金がない時の対処法について紹介します。
転職活動をしてから辞める
保育士を辞めたいけどお金がない時の対処法として、まず最初の理想の対処と言えるのは、保育士として働きながら転職活動を進めるということです。働きながらであれば、引き続き給料を貰うことができるので、金銭的には今ままで通りの生活水準を保ったまま、転職活動をすることができます。
デメリットとしては、ズルズルと仕事を続けてしまうリスクがあるということと、就業中なので、転職の準備や対策に時間を割くのが難しいということがあげられます。
一旦、パート保育士になる
一旦、パート保育士として働くというのも保育士を辞めたいけどお金がない時には有効です。
比較的に雇用形態の自由が効くというのも保育士の仕事のメリットの一つです。パート保育士として働けば、貰える給料は減ってしまいますが、一時的に仕事の負担は減ります。その期間になんとかして次の仕事を探したり、人生を好転させる施策を行いましょう。
今働いている保育園でそのままパートになれる場合もありますし、転職して別の保育園でパートとして働くという選択肢もあります。まずは、園長に相談をしてみると良いでしょう。
また、パート保育士だけではなく、派遣保育士、フリーランス、ベビーシッター等の形での雇用の選択肢もあります。
失業手当の給付を検討する
失業保険は、会社に雇用されている人が失業した場合に、再就職のために失業保険から失業手当の給付を受けることができます。転職先が決まる前に仕事を辞めたという方の場合は、地域のハローワークにいって手続きを受けることで、失業手当の給付を受けることができます。
失業手当の給付には条件があるので、自分が条件に該当しているのか、そして、実際にどれくらいの金額の給付を受けることができるのかは事前によく確認しておきましょう。
支出を見直す
お金が少し足りないという場合は、支出を見直すことも必要です。余計なサブスクに加入してしまっていないか、高額なスマホ代を払ってしまっていないかなどです。毎月の支出を減らすことができれば、お金が多少足りなくても、退職した後の期間をできるだけ引き伸ばすことができます。
税金の減免申請をする
先の保育士を辞めた後に必要になるお金で挙げた国民年金、国民健康保険、住民税については、状況によって減免措置を受けることができる場合があります。
- 国民年金保険料の免除・納付猶予制度
- 国民健康保険料の減免制度
- 住民税の減免制度
その他にも、本当にお金がなくて困窮しているという方向けに、国や自治体は様々な救済制度を実施いているので、利用できるものがないか探してみましょう。
実家に帰る
もし、金銭面で負担を減らしたいというのであれば、賃貸に住んでいるという方は解約して実家に戻るという選択肢もあります。賃貸に住んでいる人の場合は、毎月の生活費の多くを家賃が占めているのと思うので、その負担がなくなれば、より転職の準備にお金を費やすことができるでしょう。
お金がないからズルズル続けるのは良くないかも
ここまで、保育士を辞めたいけどお金がない時の対処法について紹介しました。ただ、お金がないからといって、お金のためにズルズルと仕事を続けてしまうというのは、人生にとって良くないかもしれません。
保育士を辞めたいという方は、保育園での仕事が自分にあっていなかったり、それなり仕事に不満があるという方がほとんどだと思います。不満があるにも関わらず、モチベーションが低い状態で仕事を続けるということにメリットは少ないです。
また、保育士という仕事の特性上、保育の経験は他の仕事に活かしにくく、我慢して働いたからといって、別の仕事に活かせるスキルや知識が身につくわけではありません。年齢が若ければ異業種の就業の選択肢はそれなりにありますが、ズルズルと仕事を続けてしまうことで、どんどん選択肢が減っていくことになります。不満があるままズルズルと仕事をしてしまうと、今後は、本当の意味で保育士をやめられない状況になってしまう可能性もあります。そうなってしまうと、不満がある保育士の仕事をずっと続けなくてはいけなくなってしまうかもしれません。
最低3ヶ月分の生活費を確保して思い切って辞めるのも良い
失業保険が受給できるのようになるのが、退職後およそ3ヶ月後になります。その3ヶ月分の生活費さえあれば、失業保険の給付日数と合わせて最低6ヶ月間の生活費は確保することができます。6ヶ月間自由な時間があれば、保育士以外の別の仕事に納得行く形で就業できる可能性もだいぶ高くなるでしょう。
また、保育士の場合は、最悪、また別の保育園で働くということもまったく難しく無いです。そのため、6ヶ月間仕事から離れてどうにもならなかったとしても、また保育園で働き始めれば、生活費に困ってしまうということも無いでしょう。
失業手当の給付には条件があるので、自分が条件に該当しているのか、そして、実際にどれくらいの金額の給付を受けることができるのかは事前によく確認しておきましょう。
保育園以外で働く手段を見つける
保育士を辞めるということは、基本的には保育園以外の場所で働くということになると思います。
保育士を辞めたいと思っていてもなかなか辞めることができないのは、他業種に就職することへの不安があることが原因のひとつではないでしょうか。
未経験からでも資格をとれば始めることができる仕事も存在します。
まずは自分がやりたいと思える仕事、かつ、自分の経験や知識などで可能な仕事があるかを探してみましょう。
こればかりは個人によって千差万別で、この職業がおすすめと確実に言えるものはありません。
まとめ:保育士辞めたい!辞めないための対処方法、辞める方法を保育士が解説!
保育士を辞めたくなる理由は、ひとつのことが原因ではなく、様々な不満点が積み重なった結果だと思います。
- 給料が安い
- サービス残業・持ち帰りの仕事がある
- 職員同士の人間関係が難しい
- 保護者との人間関係が難しい
- パワハラ・いじめがある
- 責任が重い
- まともな休憩・休みが取れない
- 体力的に大変
- 保育の仕事があわない
でも、ほとんどの保育士を辞めたいと思う理由は、働く保育園を変えれば変わる内容です。
まずは、自分が今の保育園での仕事のどの部分が改善されれば保育士を続けてもよいと思えるかを考えてみましょう。
そして、その内容がわかれば、そんな保育園の求人がないか根気強く探してみましょう。少なくとも今よりかはよくなる保育園が見つかるはずです。
それでもやっぱり保育士を辞めたいという方は、自分が保育園以外で働く手段を見つけましょう。それが見つかれば、思い切って保育士を辞めるという決断ができると思います。
保育士を辞めるにしても、続けるにしても、よりよい人生になれるようにお互いがんばりましょう。