これから働く保育園を探すという方。就職や転職をするという保育士の方。
今回は、保育士の平均的な求人の待遇・雇用条件を紹介します。保育士求人の相場感覚があると就職や転職活動も有利に進められます。
複数の保育士転職サイトを利用して転職活動をした経験があります
その経験が参考になればと思います
保育士の平均的な求人の待遇・雇用条件の相場を知っておくと就職転職で有利!
保育士の平均的な求人の待遇・雇用条件の相場を知っておくと就職転職で有利になります。昨今は、保育園の求人数が多く、保育士も働く保育園を選ぶのがなかなか難しい状況です。もちろん、保育士不足の時代なので、保育士側に働く保育園を選ぶ権利があるといって良いでしょう。保育士の平均的な求人の待遇・雇用条件の相場を知っておくと、ある一定の基準を下回る保育士求人を無視することができます。
平均的な基準以上の保育士求人の中から、仕事内容、保育理念、規模、保育・教育内容、人間関係などから自分が働く保育園を選ぶことで、効率よく就職や転職を進めることができます。
まずは法律の基準と会社独自の条件の違いを理解しよう
本題に入る前に、まずは法律の基準と会社独自の条件の違いを理解する必要があります。
従業員を雇用する会社や企業には労働基準法などによって、定められている様々な待遇や雇用の条件があります。例えば、労働時間は週40時間が上限というような決まりです。これは、働く労働者の安全を守るためであり、基準がなければ、会社は無限に従業員を働かせるということができてしまいます。
この法律によって定められている条件などは、どの保育園でも最低限共通している事項になります。 つまり、求人を探す際に比べても仕方が無いですし、比べる必要がない部分になります。
ただ、一方で、各保育園を運営する法人等は、独自に法律の基準より良い雇用条件を設定することができます。わかりやすいところだと有給休暇の付与日数は、フルタイムの正社員の場合は、入職後6ヶ月後に10日間というのが法律における基準ですが、例えば、入職直後に10日間付与するということも認められます。逆に、法律の基準を下回る設定をすることはできません。つまり、「うちには有給休暇制度は無い」というようなことはできません。
この法律の基準をしっかり理解しておくことで、その保育園の待遇や雇用条件の特色というのが見えてきます。 法律の基準より上回っているということは、それだけ保育士の待遇を良くしようという考えがあるということです。
全てにの保育園にあって当たり前の制度
まずは、全てにの保育園にあって当たり前の制度である、法律等で決まっている雇用条件について紹介します。法律によって定められている最低限の基準の紹介になります。
有給休暇付与
- 入職後6ヶ月後に10日間
有給休暇の取得
- 年5日の消化義務
保育園には、年10日間以上の有給休暇が付与される職員に対して、年5日の有給休暇の消化義務があります。
加入保険
雇用保険,労災保険,健康保険,厚生年金 は正社員として保育園で働く場合には加入することになります。
産休制度
- 産前休業
- 出産予定日の6週間前(多胎妊娠の場合は14週間前)
- 本人からの請求
- 起算日は原則として自然分娩の予定日となります。
- 産後休業
- 出産の翌日から8週間
- 取得は強制
- 産後6週間を経過し、医師の許可がおりた場合には就労可能
- 現実の出産日から起算します。
- 出産手当金:給与のおよそ2/3
- 出産育児一時金:42万円(2023年3月まで)、50万円(2023年4月以降)
育休制度
以下の条件に該当する場合に育児休業の取得が可能です。
- 同一の事業主に引き続き1年以上雇用されている
- 子どもの1歳の誕生日以降も引き続き雇用されることが見込まれる
- 子どもの2歳の誕生日の前々日までに、労働契約の期間が満了しており、かつ、契約が更新されていないことが明らかでない
育児休業は、子が1歳に達するまでの間に取得することができます。さらに1歳以降も以下の事由に該当する場合は最大2歳まで育児休業の延長が可能です。
支給される金額は支給対象期間(1か月)当たり、原則として休業開始時賃金日額×支給日数の67%、育児休業の開始から180日経過後は50% 相当額になります。休業期間中はおおよそ6割から5割程度が給付金として支給されるということになります。
例えば、無条件で3年間、育児休暇を取得できるという保育園もありますが、その期間に給料が出るとは限らないので注意しましょう。雇用保険からの「育児休業給付金」の支給を除いた場合、ほとんどのケースでは給料は出ないでしょう。
短時間勤務制度
3歳未満の子どもを養育する場合に、条件によって、短時間勤務制度の利用が可能です。
子の看護休暇
「子の看護休暇」の概要は以下になります。
- 1年度に労働者1人につき5日(子が2人以上の場合は10日)
- 取得単位は1日単位、半日単位、時間(1時間)単位
- 給与の有無は企業ごとの判断で制定
子ども病気や怪我などで看護が必要な時に利用できる休暇になります。
- 子どもの病気や怪我
- 子どもの体調不良
- 子どもの通院
- 乳幼児健診
- 子どもの予防接種
保育士宿舎借り上げ制度(地域による)
地域によりますが、勤務する保育園が所在する市区町村によっては、保育士宿舎借り上げ制度が利用できます。賃貸に住んで、保育園で働く場合に、借りる物件を保育園が借り上げてくれる制度になります。細かい利用条件(自己負担額、同棲などの場合の制限、賃貸の場所の条件)などは保育園ごとに異なるので、注意しましょう。また、自治体に保育士宿舎借り上げ制度があったとしても、利用できないという保育園もあります。
保育士の平均的な給与待遇や雇用条件
私自身の保育施設での就業経験や転職経験、様々な求人を見てきた経験を踏まえた、保育士の平均的な給与待遇や雇用条件について紹介します。
標準労働時間
標準労働時間は、その保育園で正職員として働いた場合に最低限の働く時間になります。標準労働時間を超えると、保育園は割増賃金を保育士に支払う必要があります。
法律による条件:最大週5日40時間
保育園の平均的な標準労働時間:週5日40時間
保育士の負担軽減や仕事の業務効率ができている保育園では、まれに、一日の労働時間が7時間30分という保育園もあります。また、変形時間労働制という制度を採用している保育園もあるので注意しましょう。
変形時間労働制については以下の記事でも紹介しています。
初年度有給休暇付与日数
法律による条件:入職後6ヶ月後に10日間
保育園の平均的な初年度有給休暇付与日数:入職後6ヶ月後に10日間
親切な保育園では、入社直後に3日程度の有給休暇を付与してくれたり、入社直後に10日間の有給休暇を付与してくれる制度を採用している場合もあります。入社直後に病気になって休まなければ行けないという時に欠勤にならなくて済むというメリットがあります。
有給休暇取得率
法律による条件:年5日の消化義務
保育園の平均的な有給休暇取得率:60〜70%程度
有給休暇が年10日以上付与される、従業員に対して年5日の消化義務があるので、初年度は10日中の5日間は、絶対に消化できるということになります。つまり、50%となります。有給休暇の付与日数は年々増えていくので、勤続年数が長い職員がいると、年5日の消化義務だけだと50%を下回るということになります。
夏季休暇
法律による条件:付与の義務なし
保育園の平均的な夏期休暇日数:2日間
夏季休暇は付与する義務があるわけではありませんが、保育園では働く保育士に対して、夏季休暇が設定されていることが多く、2日程度付与されるというのが平均的と言えるでしょう。夏季休暇は別途、休暇を付与するという保育園もあれば、有給休暇を利用して夏季休暇を取得してもらう保育園もあるので注意しましょう。
年末年始休暇
法律による条件:付与の義務なし
保育園の平均的な年末年始休暇日数:12月29日〜1月3日
年末年始休暇についても付与の義務があるわけではありません。ただし、休日保育を行っていない保育園は年末年始は保育園自体も空いていないので、保育士も休暇になることが多いです。逆に休日保育を行っている保育園では、年末年始での出勤の可能性があります。
休暇制度
法律による条件:毎週少なくとも1回、または4週間に4回の法定休日
保育園に多い休暇制度:完全週休2日制(毎週二日間の休みがある)
休暇制度に関しては、日本では様々な働き方が認められていて、一概にどの働き方が良いということは難しいです。ですが、安定的に多くの休暇日数がほしいという保育士の方の場合は、「完全週休2日」の保育園に就職するのが良いでしょう。完全週休2日制の場合は、毎週2日間の休暇が確実にあるということになります。
保育園はシフト制が多いですが、完全週休2日制の保育園の場合は、例えば、土曜に出勤したら平日のどこかが休みになるということが多いでしょう。
時間外労働時間、残業時間
法律による条件:1か月45時間、1年360時間まで
保育園の平均な残業時間:1か月5時間程度
時間外労働、所謂、残業時間は、月5時間前後が保育園で働く保育士の目安になります。特に、認可保育園の場合は、同じような制度と保育士の人数で保育園を運営しているので、この基準より残業時間が多すぎるという場合は、保育園に非効率が多いと言えるかも知れません。
持ち帰りの仕事、サービス残業の有無
持ち帰りの仕事、サービス残業は違法残業なので、法律では認められない
求人募集の段階で、持ち帰りの仕事がありますという保育園は無いでしょう。ただし、実際に働きだしてから実は持ち帰りの仕事があったというケースもあります。見分け方としては、時間外労働が全く無いという保育園は逆に怪しいと言えるかも知れません。
休憩時間
法律による条件:一日8時間を超える勤務で1時間の休憩
保育士の平均的な休憩時時間:1時間の休憩
休憩時間については、特に保育園ごとに大きな違いは無いですが、保育士の場合は、休憩中に書類の仕事等に従事させられてしまうということもあるので、その点の見極めが必要です。
通勤手当、交通費
法律による条件:義務なし
保育園の平均的な通勤手当:実費支給(上限あり)
交通費は実費を全額支給してくれる保育園が多いです。ただし、支給金額には上限が設定されていることが多いので、あまりにも遠方の保育園に就職を希望する場合は注意しましょう。
退職金制度
法律による条件:義務なし
保育園の平均:退職金制度あり
退職金制度は義務ではありませんが、導入している保育園が多いです。参考までに、社会福祉施設職員等退職手当共済制度の普通退職の場合の退職金の支給金額について紹介します。
● 5年間勤務して退職(退職時本俸月額20万円) ………… 49万5900円
●10年間勤務して退職(退職時本俸月額22万円) ………… 114万8400円
●15年間勤務して退職(退職時本俸月額26万円) ………… 269万7000円
●20年間勤務して退職(退職時本俸月額28万円) ………… 572万4600円
※引用「社会福祉施設職員等退職手当共済制度について」https://www.wam.go.jp/hp/guide-taisyokuteate-outline-tabid-229/
給料・賞与について
保育園で働く保育士の給料や賞与などの金額は、地域ごとにかなり差があるので以下の記事を参考にしてください。
まとめ:こんな待遇・雇用条件の保育園ならひとまず平均以上!
ここまで、全てにの保育園にあって当たり前の制度と保育士の平均的な給与待遇や雇用条件を紹介しました。これらをまとめることで、こんな待遇・雇用条件の保育園ならひとまず平均以上と言えると思います。
- 有給休暇:入職後6ヶ月後に10日間
- 有給休暇の取得:年5日の消化義務
- 加入保険:雇用保険,労災保険,健康保険,厚生年金
- 産休制度あり
- 育休制度あり
- 短時間勤務制度あり
- 子の看護休暇あり
- 保育士宿舎借り上げ制度あり
- 標準労働時間:週5日40時間
- 休憩時時間:1時間
- 完全週休2日制
- 有給休暇取得率:60〜70%
- 夏期休暇日数:2日間
- 年末年始休暇日数:12月29日〜1月3日
- 残業時間:1か月5時間程度
- 持ち帰りの仕事、サービス残業なし
- 通勤手当:実費支給(上限あり)
- 退職金制度あり
保育士の平均的な求人の待遇・雇用条件の相場を知っておくと就職転職で有利です。待遇や雇用条件について相場を下回る保育園の保育士求人にわざわざ保育士が応募する必要はありません。昨今は保育士不足なので、保育士が働く保育園を選ぶという時代です。
保育士の待遇や雇用条件の相場感覚があれば、それを下回る求人は無視することができるので、圧倒的に効率良く就職や転職を進めることができます。
これから働く保育園を探すという方は、この条件を基準に保育園の求人を探してみてはどうでしょうか?