これからの保育士の資格を取るという方。保育士になるのが夢という方。
保育士の仕事はキラキラした面もあれば、責任も重く大変な面もあります。今回は、保育士になるのが夢という方に知っておいてほしい現実を紹介します。
保育士になることが夢という方の夢を否定したいわけではなく、余計なお世話かもしれませんが少なくとも保育士の私としては、現実を知った上で保育士を目指してほしいと思っています。
現実を知った上で保育士を目指せば、後々になっての後悔も少なくすることができます。後悔や後ろめたさがなければ、前向きに楽しく保育士としての仕事ができるようになると思います。
ブラック園とホワイト園で働いた経験があります
その経験が参考になればと思います
保育士の給料・待遇は低い
既にかなり多くの人に認知されてきていますが、保育士の給料ははっきりいって低いです。新卒なら手取り15万円から良くて20万円の世界です。一般企業の大卒や高卒の手取りの平均と比較してもやや少ない水準です。
しかも、毎年の昇給額も雀の涙ほどなので、将来的な給料額も高くないです。なぜ保育士の給料が低くて保育士不足でも上がらないのかは以下の記事でも解説しています。
福利厚生も特段良いわけではなく、パート・アルバイトの時給も低いです。退職金も雀の涙で、老後に3000万円を貯めるなんて夢のまた夢です。
基本的に保育士の退職金額は非常に安いです。これについても、以下の記事で紹介しています。
(ただし、公立保育園に勤める公務員保育士は異なります。)
それでいて保育園によってはサービス残業・休日出勤があったりします。じゃあ、人間関係が良いかというとそういうわけでもなく、普通の会社と比べて人間関係が良い保障もないです。
もちろん人間関係については、普通の会社にも同様のリスクがありますが、保育園は小さい法人(1園しか運営していない家族経営のような保育園)が多いので、人間関係に行き詰まると逃げ場がないです。大きな会社だと様々な部署や支店などがあるので異動が可能なことがあります。
もちろん、保育士といってもピンキリなので、すべての保育園が給料・待遇が低いわけでないですが、すくなくとも他の職業と比べての給料・待遇は高いと胸を張って言えるところはないと思います。
保育士の給料は国の補助金がほぼすべてなので、ここが普通の企業と違う点です。福祉事業なので、いくら保育需要が増大していて保育士不足となっていても給料が上がらないのはそのためです。
現状では、保育士がどんなにがんばっても年収500万円が上限といったところだと思います。
そもそも国は保育士の待遇を改善する気はあまりない
そもそも国は保育士の待遇を改善する気はあまりないです。
その理由となる一つ目の制度が、2019年10月から始まった「幼保無償化」です。
保育士の待遇改善が先だろうという批判が噴出していましたが、断行される形となりました。つまり保育士の待遇改善で保育士を現場に呼び戻し保育需要を満たそうということではなく、単に保育園を無料にしてさらに保育士不足に拍車をかけた形です。
もう一つの理由となる制度が「地方裁量型認可化移行施設」というものです。これは国主導で作られた制度ですが、この制度は簡単に言うと無資格者を保育園で働かせて保育士不足を解消しようというものです。
この制度を利用すれば、認可保育園でもほぼ同額程度の補助金を貰いつつ保育士の代わりに、無資格者を最大で3分の2を登用することができます。
保育士の質を下げてでも、保育士の給料は上げたくないのが今の国の方向性になります。
これらの制度が最近できていることから、無資格者などを活用して、現状の保育士不足をギリギリで乗り切ってあとは保育士余りになったらあとは知らんという態度なのが目に見えています。
そもそも政治家からしてみても、少子高齢化なので、子育て関連の政策を強調しても票を獲得することができません。そのため、高齢者向けに政策などが充実していくのは少子高齢化の日本の現実となっています。
今後は保育需要は下がる
そして最も問題なのが今後の日本の保育需要です。2020年〜2025年で保育需要が過去最大まで高まりますが、その後は少子高齢化の影響もあって保育需要は減っていくことが予想されます。
当然ですが、フルタイムの共働きが増えるので、幼稚園の需要も徐々になくなっていきます。
つまり、今後は保育士が余っていくことになります。保育園も徐々に閉園していくことになるでしょう。保育園が閉園すると、そこで働いていた保育士は他の保育園で働くために転職活動をすることになると思います。もちろんその時に若くて体力があれば、保育士以外の他業種に転職することは可能だと思いますが、40代・50代になっていることを考えたら他業種で働くのは難しいかもしれません。
そうなると、今でこそ保育士の求人倍率は非常に高いですが、今後は求人倍率も下がってきます。
保育士が余れば、国は処遇改善はしなくなります。国が処遇改善をしているのは待機児童が増えていて、保育士が足りないからです。今ですら無資格者を働かせたり、幼保無償化をしたりと、保育士の待遇改善は後手になっているので、保育士余りになったら待遇改善がされるはずがないです。
保育園としても給料を下げても保育士が採用できるので、保育士の待遇は基本的に悪くなっていきます。今は保育士の一斉退職なども起きて、ブラック保育園に対しての抵抗手段もありますが、保育士余りの状況では一斉退職しても次の保育士がすぐに雇用できてしまいます。そして、一斉退職した保育士は働くところもなくなってしまうかもしれません。
現状の保育士不足の状態でも、なかなか処遇改善が進んでいないのに、保育士余りになったらどうなるかは考えたくもない状況です。
今後保育士になりたい人がすべきこと
保育士になるのが夢で、今後保育士になりたい人がすべきことを考えます。
自分の夢の本質を考えよう
余計なお世話かもしれませんが、保育士という職業を通して自分が何を実現したいのかという点です。
もし子どもと関わる仕事がしたいということであれば、ひょっとしたら保育士じゃなくても良いかもしれません。
もしかしたら、趣味のような形で夢を継続することもできるかもしれません。
例えば、夢であったプロ野球選手にはなれなかったが、社会人になったら趣味として週末に草野球をするというようなことです。
どうせなら自分のやりたいこともできて、なおかつ、生活に困らないお金も稼げるのが良いですよね。
しっかりと自分のやりたいこと・夢などを考慮して保育士になるかどうかを検討してほしいです。
保育 + アルファのスキルを身につける
もう一つは、保育のスキルとは別にプラスアルファのスキルを身につけることです。
保育士余りの世界が待っているので、保育だけでなく他のスキルももっていると優位にたつことができると思います。モンテッソーリの資格をとったり英語を学んだりです。
例えば「英語」を話せるとしたら海外で幼児教育の仕事に就くことができます。日本は少子高齢化ですが、世界的に見たら人口増の流れなので日本よりも良い待遇で働けるかもしれません。
日本でも、これからの時代さらに英語を教えられる保育士の需要が高くなるので、日本で保育士として働く上でも働き場所に困ることは少なくなります。
海外の幼児関連施設で働くこともできるので、少子高齢化している日本を脱出して海外で働くという選択肢もとることができます。
保育 + アルファのスキルを身につけることで保育士としてもよりよい環境で働くことができると思います。
保育以外の収入源を作る
保育 + アルファのスキルと同様ですが、保育士の待遇は低く、国が保育士の待遇を改善する気はあまりないので、保育以外の仕事での収入源があると良いかもしれません。
例えば、土日でできるような副業など、今ではネットを活用して個人が活動できる時代なので、SNSやYoutubeなどで発信するというのも良いと思います。
ピアノや英語など、もともとできるスキルなどを活かして、誰かに教えるという仕事もあると思います。とにかく保育以外であればなんでも良いと思います。
これは、いつでも保育士を辞められるという意味で、精神的な面で安定もできる要素になると思います。
まとめ:【忠告】保育士になるのが夢という方に知っておいてほしい現実とは?
保育士になるのが夢という方に知っておいてほしいことは以下になります。
- 保育士の給料・待遇は低い
- そもそも国は保育士の待遇を改善する気はあまりない
- 今後は保育需要は下がる
今後の保育需要などは、まだまだ未確定な部分も多いので、改善に期待しましょう。
国は保育士の待遇を改善する気はあまりないので、国の政策などに左右されないような保育以外の収入源があるとなお良いかもしれません。
余計なお世話かもしれませんが、少なくとも保育士の私としては、現実を知った上で保育士を目指してほしいと思っています。現実を知った上で保育士を目指せば、後々になっての後悔も少なくすることができます。後悔や後ろめたさがなければ、前向きに楽しく保育士としての仕事ができるようになると思います。