これから保育施設に就職をする新卒や保育学生の方。
特に、新卒・保育学生の方が就職活動する前に知るべき、保育園の仕組みや労働条件があります。知っておかないと、ブラックな保育園に就職してしまったり、これからの保育士としてのキャリアに影響が出てしまうこともあります。
今回は、就職活動を控えている保育学生や新卒の方向けに、知るべき保育園の仕組みや労働条件についてまとめています。参考にしてみてください。
複数回の就職、転職経験があります
その経験が参考になればと思います
就活する前の保育学生が知っておくべき保育施設の種類
日本では0〜5歳児を預けることができる施設のことを “保育園” と言いますが、厳密には世の中にたくさんの種類の保育施設があります。そして、それぞれの種類によって特徴があります。
- 認可保育園
- 認可保育園
- 小規模保育事業
- 事業所内保育事業
- 認可外保育施設
- 認証保育園
- 企業主導型保育事業
- 認定こども園
- 幼保連携型
- 保育園型
- 幼稚園型
- (幼稚園)
幼稚園は厳密には保育施設ではありませんが、新卒の方は幼稚園教諭免許状も持っていることもあると思うので選択肢として列挙しました。
これらのどの施設で働くかによって、保育士として経験できる仕事内容や給与待遇などにも違いが出てきます。新卒や保育学生の方は、その点を踏まえて、働く施設を選ばないと、その後の保育士としてのキャリアが変わってきます。
また、それぞれの施設の特徴については下記の記事でも説明しているので参考にしてみてください。
保育学生が最初に働くのにおすすめの保育施設の種類は「認可保育園」「認定こども園」
保育施設の違いを理解した保育士の方がきになるのが、新卒や保育学生は、どの種類の保育施設で働くべきかということだと思います。
新卒や保育学生が最初に働くのには、
- 「認可保育園」
- 「認定こども園」
がおすすめです。
理由は、保育士として経験できる仕事内容の広さと、働く上での安定性があるためです。
まず、日本の保育施設は認可保育園か認定こども園がほとんどで、このどちらも統一された制度によって運営されています。保育園ごとに細かい方針や保育・教育内容に違いはあれど、大枠は共通する制度で運営され、保育所保育指針を基本としています。一方で、認可外保育施設は、数も少なく、ある程度保育内容に自主性があることが多いです。つまり、認可保育園や認定こども園での保育士としての経験は、全国どこでも共通して通用するスキルとなります。
例えば、小規模保育事業は定員が19名以下で、0〜2歳児を預かる保育施設になります。ですが、小規模保育事業は定員が少なく、行事なども控えめな傾向があります。また、通常は0〜5歳児が在籍する保育園ですが、小規模保育事業は0〜2歳児の預かりになるので、保育士として経験できる仕事が乳児のみになってしまいます。保育士としての仕事を一通り経験した方であれば、少人数で一人ひとりに寄り添った保育ができるというのは魅力が出てくると思いますが、未経験の保育士の方にとっては経験できる仕事の幅が少なくなってしまうというデメリットがあります。
働く上での安定性という点では、
認可保育園や認定こども園は国、自治体からの補助金という面で、金銭的に安定しています。また、認可保育園の認可はその地域の保育需要も踏まえて行われます。つまり、一度、認可されて認可保育園として運営されているということは、後からその地域の保育需要を上回って新しい保育園ができあがるということは少ないということです。保護者の利用料も認可外保育施設と比べても安いので、基本的には認可保育園が選ばれることが多いです。
一方で、認可外保育施設は、資金面では、基本的に保護者の方の支払う保育料に依存しています。独自の保育内容やカリキュラムなどで人気がある保育施設でなければ、安定して定員を満たすというのが難しいです。どちらかというと、認可保育園になんらかの事情で入ることができなかった場合に利用を検討するということが多いです。また、最終的には認可されることを目標として運営している認可外保育施設もあります。そのため、近隣に新しい認可保育園ができたり、人口が減少して保育需要が少なくなると、定員割れになってしまうこともあります。その結果もし、閉鎖となれば、退職や転職を余儀なくされてしまう場合もあります。
保育施設の運営母体について
これから保育施設に就業したいという、新卒や保育学生の方は、保育士施設を運営する母体についても理解しておく必要があります。
- 市区町村
- 社会福祉法人
- 宗教法人
- 学校法人
- 株式会社等
市区町村が運営する保育園は、公立保育園で、働く場合は公務員として市区町村に採用される必要があります。それ以外は、民間の保育施設で、私立保育園ということになります。
どの運営母体だと良いとは一概には言えないことが多いですが、それぞれの母体によって特色はあるので、以下の記事を参考にしてみてください。
就活する前の保育学生が知っておくべき認可保育園の仕組みや制度
ここからは、就活する前の保育学生が知っておくべき認可保育園の仕組みや制度を紹介します。
保育園の運営費について
保育園の運営費は、国や自治体から園児の定員の受け入れ状況などに応じて一律決まった金額が公定価格として保育園に支給されます。保育園は、支給される運営費の中で、保育士の給与等の人件費や設備、備品等の費用を賄う必要があります。つまり、保育園で働く保育士の給料などは保育園間で大きな差は少なく、横ばいになりがちです。その中で多少の差があるのは、保育士の仕事や働き方の効率などによる場合が多いです。
保育士の配置基準について
保育園や認定こども園には国が保育士の配置基準を定めています。
年齢 | 保育士1人あたりの保育人数 |
---|---|
0歳児 | 3人 |
1~2歳児 | 6人 |
3歳児 | 20人 |
4歳児以上 | 30人 |
配置基準を知っておくと、見学や面接をした時に保育士の人数が足りているのかということを精査することが可能です。ブラックな保育園は、配置人数ギリギリであったり、足りていないことがあります。見学の際によく見てみましょう。
就活する前の保育学生が知っておくべき日本の労働条件について
これは、保育園で働く場合以外でも共通する内容になります。基本的な労働条件を知っておくと、働く保育園選びに役に立ちます。
ここに書いているのは、労働基準法などの法律で決まっている最低条件なので、この条件より労働者にとって良い条件を提示してくれる保育園もあります。最低の基準を知っておくことで、保育園を比較しやすくなるというメリットがあります。
労働時間について
保育士の労働時間は基本的に1日8時間、週40時間が上限です。それ以上の時間は割増賃金として、残業代が支払われます。
休暇・休日について
有給休暇はフルタイムの正社員の場合は、入社半年後に10日間付与されます。そして、年5日間の有給休暇の消化義務があります。それ以外の夏季休暇や年末年始休暇は保育園に義務付けられているわけではありません。
休憩時間について
従業員に対して、休憩時間を与える義務があります。
- 6時間以上働く場合は、45分
- 8時間を超えて働く場合は、60分
の休憩を取得させなければいけません。また、休憩は、完全に業務を離れている必要あります。子どもの安全に見張っていたり、子どもと給食を食べていたり、書類をしているという時間は完全な休憩とは言えません。
就活する前の保育学生が知っておくべき保育園の給与待遇について
保育士に支給される給料は大きく、基本給、手当、賞与の3つの種類です。特に手当に関しては、保育園ごと内容も金額も異なります。様々な手当が支給されるので、全体の給料がわかりにくい場合も多いです。そのため、月給だけではなく、トータルの年収で保育園を比較するようにしましょう。
また、就職する上では、近隣エリアの保育園の相場感を知ることが大切です。先程も書きましたが、保育園で働く保育士の給料などは保育園間で大きな差は少なく、横ばいです。そのため、極端に給料が安かったり、逆に高かったりする保育園はブラックな保育園である可能性もあるので注意が必要です。
就活する前の保育学生が知っておくべき保育士向けの制度
ここからは、就活する前の保育学生が知っておくべき保育士向けの制度について紹介します。これらの制度を知っておくとお得に就職ができる場合があります。
保育士向けの処遇改善費
処遇改善費は保育園に勤務すれば自動的に給料に反映されると思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、実はそうではありません。まず、保育士向けの処遇改善費は保育園が条件を満たして自治体に申請しないと支給されませんし、悪い保育園は、ネコババをしているということもあるようです。しっかりとどのような内訳でどのように給料に反映されているかを確認する必要があります。
保育士宿舎借り上げ制度
一部の自治体では、私立保育園に勤務する保育士向けに、保育園が賃貸を借り上げる際の補助を出している場合があります。それが保育士宿舎借り上げ制度になります。この制度を利用すると約8〜9万円程度の賃貸に自己負担1万円程度で住むことができます。
また、利用できる自治体であっても、保育園によっては利用できなかったり、利用人数に制限がある場合もあるので、注意しましょう。
奨学金返済支援
一部の自治体では、保育士資格を取得するための養成学校などに通う費用として奨学金を借りている場合に、保育施設に保育士として就業すると、その奨学金の返済支援をしてくれる場合があります。制度の有無や利用条件などは各都道府県や市区町村に確認しましょう。
引っ越し転入支援
一部の自治体では、新たに保育士として保育施設に引っ越し・転入を伴って就業する場合に、引っ越し金の補助や転入の支援金などを支給してくれる場合があります。こちらも制度の有無や利用条件などは各都道府県や市区町村に確認しましょう。
知っておくべき就職サイト
最後に、これから保育施設に就職をする新卒や保育学生の方向けに、知っておくべき就職サイトを紹介します。転職サイトはこれから就職をする保育学生や新卒の方も利用ができます。これから就職活動をするという保育学生の方は、まずは登録して求人情報などを手に入れてみると良いでしょう。
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